いのちのパレード(著・恩田陸)
「無国籍で不思議な短編集を作りたい(あとがきより)」という思いから生まれた短編集。
恩田陸という作家のイマジネーションの豊かさに感服。
地面から手が生えてくる村、蝶を用いて死者を捜す人、当たりたくない宝くじ、ときにかたつむりが大量発生する町、ミュージカルを行いながら現実を生きる出演者、文字通り走り続ける国、リアルすごろく。
魅力的なアイデアが次々と読める。
アイデアもいいけど、アイデア勝負でもない。
恩田陸の文章力のなせるわざか。
表題作に見られる、これまで地球に存在した全生物が同じ方向へと進んでいく様子は特に秀逸。この描写だけでこの話は十分といえるような雄大な光景だった。
あとがきで恩田陸本人は短編小説が苦手と言っている。だが、むしろショートショートが苦手なんじゃないかな、と思う。
きっとオチのインパクトで話を閉じるべきタイプの作家ではない。
それはおそらく情報伝達に焦点があてられた文体でないから。独特の雰囲気を醸し出す文体。
最後に急転直下の展開を持ってくるならある程度エピローグのようなものをつけた方が、エピローグ的要素をつけないならその展開に至るまで十分に煽った方が、恩田陸の文体には合っていると思う。
個人的には、恩田陸の特性がどこにあるのか感じることのできた一冊だった。
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