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となり町戦争(著・三崎亜紀)

となり町戦争

 ごく一般的な町に暮らす会社員・北原修路。ある日、彼の町はとなりの町と戦争を始める。開戦後も、戦争が始まった様子は感じられない。そんな彼に町から偵察業務が与えられ――。

 第17回小説すばる新人賞受賞作。

 現代の戦争を表現した小説だと思う。戦争をニュース越しにしか知らない人と、戦争を現場から離れて動かしている人を特に描いていると思う。
 実感できない戦争。日常が続く中で行われる戦争。ゲーム的にも捉えてしまう戦争。それでも戦死者に自分の関わった人があらわれるかもしれない戦争。

 日常を過ごしつつ、ささやかな幸せも享受しつつ北原は戦争に関わる。「戦争」という非日常を、意識しながらも実感できずにいる。だからこそ実際を知りたがる。なぜ戦争を行うのか。戦争はどう行われているのか。北原と同じように、こっちもとなり町戦争の実態が気になった。ひきこまれて読んでいった。
 北原の簡潔な一人称が戦争を実感できない様を一層浮かび上がらせていると思う。

 日常の真っ只中に放り込まれた戦争だから、北原は興味を持てたけれど、遠い地で行われていたら興味を持たなかったかもしれない。そして興味を持って調べた結果はこの小説の描くとおりなのかもしれない。

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