『MOMENT』(著・本多孝好)
本多孝好初読。
病院で掃除夫バイトをする男子学生を主人公にした連作短編集。
全体的に冷静な性格の主人公の一人称で話は語られる。
冷静さゆえの簡潔さ・静謐さが文体にはあり、それがこの作品には合っていると思う。
誰にも訪れる死。客観的にとらえようとしながらも、感情の介入を抑えられない。
死をこの作品ではそのように描いていると思う。それに合った主人公と文体だと思う。
また、ミステリー出身ということもあり、淡々と言葉が綴られていても、油断しているとストーリーに驚かされる。
最初、主人公は皮肉屋で好きになれない性格だった。
皮肉を言うときとまじめなことを考えるときとで二重人格にさえ見え、キャラがアンバランスだったと思う。
しかし、人の死という、皮肉がなくならざるを得ない出来事に直面していく中で、皮肉がなくなっていく。
皮肉がなくなる大きなきっかけとなる出来事が明示されているわけではないけれども。それもまた淡々としていてこの作品らしい。
『FIREFLY』がお気に入り。
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